衝動的に旅に出たくなる

衝動的に旅に出たくなるアニメオタクのブログです。

鐘ヶ嶽 都心からのんびり日帰りで登れる低山と昭和露天風呂

【山】二時間で登って下れるお手頃登山 鐘ヶ嶽 

十二月も二週目の週末となり、そろそろ関東の紅葉も終わり。
それでも週末晴れていると居ても立ってもいられない。
どこか今からでも紅葉が楽しめて、ついでに温泉にも入れるような場所はないかしらと探して見つけた鐘ヶ嶽。

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渋沢までの小田急線と、指定区間のバスが乗り降り自由になる小田急の丹沢・大山フリーパスを購入し、登山口近くの広沢寺温泉入口のバス停へと向かう。
本厚木駅からは二十分に一本の頻度でバスが出ており、30分ほどで広沢寺温泉バス停へ着く。

11:00にバス停着。鐘ヶ嶽の登山口までは案内板があちらこちらに出ているので、これに沿って歩いてゆけば問題ない。

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登山道口には鳥居があり、神聖な雰囲気を醸し出している。

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獣避けのフェンスをくぐって山道へ入る。

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一周二時間ほどの短い低山だし、装備あまり重装でなくても大丈夫かな?と思ったのだが、
一部鎖場のような場所もあったり、細い尾根道や根っこだらけの急峻な坂もあったので、
登山靴だけでもきちんとしたものを履いて行った方がいいかもしれない。

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山頂は特に展望があるわけでもなく、ベンチはあるものの木陰になってどこか寒々しい印象なので、この季節にここでお昼ご飯を食べるのは冷えそう……
それよりも、山頂より手前にある大岩付近が見晴らしも良く、小休憩には絶好の場所に思えた。

大岩と山頂の間には長い石階段があり、山頂横の浅間神社へと続いている。

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途中のんびり歩いていたので頂上到着は12:20。

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そこからやはり途中読書休憩などを挟みつつ下山して、麓に着いたのが13:00。
往復二時間程の行程でした。

なお、麓の登山道が舗装道路と交わるところには、山神隧道という廃トンネルがあり、
二百メートルほどの長さの中間点に立つと、出口の光以外全てが闇に包まれて、遠近感がわからなくなる不思議な感覚にとらわれる。

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自分はオカルトや霊云々は全く感じないし興味もないのだが、すぐそこの闇から誰かの手が伸びてきそうで、現実的な恐怖に襲われる。
ここで驚かされたら心臓止まるな……。

自分の足音と、風が吹き過ぎる音だけが聞こえる。他にはない、闇に吸い込まれるような体験。

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【温泉】昭和の薫り漂う広沢寺温泉 玉翠楼


登山口から徒歩十分ほどのところに位置する、昭和九年会館だという歴史ある旅館。

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館内にはレトロなクラシック電話なども置いてあり、一昔前の山宿を思わせる。

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日帰り温泉は1000円。11:00am〜4:00pmまで。

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pH10.3という強アルカリ性源泉とのことで、湯の花も浮かんでいて泉質は良い。
ただ、日帰りの場合には屋外の露天風呂のみで内湯がなく、
この季節だと寒さに震えながら身体を洗わねばならず、
さらに露天風呂がよく言えば野趣溢れる、有り体に言ってしまえば自然そのままなので、
落ち葉やら虫やらが浮かんでいたり、底が砂でざらついていたりするのが
ちょっと気になってしまうかも……。

また、お風呂を上がったところには、ちょっとした食事が取れるスペースがあります。

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がっつり猪豚定食などもあるようですが、こちらは数千円とちょっとお高め。
猪食べたかったけれど、お財布と相談して、五百円の煮物を頼む。
ゼンマイ、里芋、インゲン、ごぼう、こんにゃくの盛り合わせ。
本当の小鉢という感じで、自分には少々物足りなかったかも。

旅館の方はとても明るく溌剌としていらして好感が持てました。


【ご飯】山奥にある超人気ラーメン店 淡麗だけどこってり? ZUND BAR


お昼ご飯としては少なかったので、近くの有名ラーメンみせ、ZUND BARへ。
私の到着は三時半ごろだったのだが、5組ほどが並んでいる繁盛っぷり。
それでも回転は早く、すぐにカウンター席へ案内された。

秋冬限定、魚介系の鯛のあら醤油ラーメンと、厚木の地ビールでこれまた秋限定のりんごビールをいただく。

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りんごビールは本当に果実みに溢れていて、とても美味しかった!
ただラーメンの方は、淡麗なスープでラーメンの常識が覆る、との前評判を聞いていたのだけど、たまたま私の頼んだラーメンがそうだったのか、味が濃くてほとんど飲めず……珍しい極細麺も、自分は以前ネパールで食べたチョウメンや、東南アジア系の麺を思い出してしまい、これよりは普通のラーメンの麺の方が好きだったかも……
もっともこれは一概に自分の好みの問題で、名前の通りバーのような雰囲気のお店は清潔で素敵だし、山奥というロケーションも味わい深さを増していたと思います。

暗くなる前に帰るつもりでいたのだが、結局バスを待っているうちに日が落ちてしまい、16:42に七沢を出るバスで本厚木駅へ。

週末小旅行としては楽しい旅でした。
 

 

鎌倉 紅葉と海沿いの街歩きと温泉と

電車の窓から差し込む透明な朝の光に、若い女は白い頬を輝かせながら海沿いの街へーーそんな映画のワンシーンをもう何度も見てきた気がする。

私が「よし、明日は海へ行こう」と思い立った時、脳裏に浮かべているのはたいていそうした情景で、
そしてそのように思い立つのはだいたいが接待飲み会を終え駅近の喧騒に揉まれている金曜の夜である。
 
その金曜日も私はとある仕事の打ち上げで受付に駆り出され、
来場者の名前を聞き間違えるミスを連発し、
ご飯を口に入れるタイミングに気を使い続け、
三時間の後に若者たちがたむろする新宿駅東口の改札をくぐりながら、
明日は鎌倉へ行こうと心に決めた。
時刻は丁度日付が変わったところだった。
 
そして2019年11月30日、土曜日。
 
だがしかし思うのだが、「電車の窓から差し込む透明な朝の光に頬を輝かせ」なんて映画だか広告だかドラマだかのワンシーンのようなあの光景を再現するのは、そう簡単なことではない。
朝の光のどけき時間帯に海沿いへたどり着くには、人は大きな難関を乗り越えなければならない。
 
そう、休日の朝に早起きしなければならないのだ。
 
おのれ、旅人としての志が低すぎると言うなかれ。
金曜夜に接待へ駆り出されている社会人トラベラーにとって、土曜朝の早起きがどれだけきつく辛く堪え難いことか!
 
案の定翌朝、六時過ぎにセットしていたはずの目覚ましが気付けば止まっていた。
正確を期すならば、自分で止めていた。
ガッデム!と叫び自己嫌悪の念に顔を歪ませながら、
私は慌ただしく埼玉発鎌倉行きの電車に飛び乗ったのだった。
 

 海沿いの暮らしに憧れて

 
ここで今回の鎌倉旅のテーマについて書いておく。
ずばり、「海沿いの暮らしを感じる」である。
 
海沿いの街っていいですよね。
この間是枝監督の「海街Diary」を観たのですが、実に清々しいですね、憧れますね。
私は一日に一回は海沿いの街に引っ越すことを夢見ています。
 
今回は小田急線の「江ノ島・鎌倉フリーパス」を使用し、
藤沢駅で乗り換えて江ノ電江ノ島駅へ。
 
 江ノ電はどうやら鎌倉駅藤沢駅へ向かうルートよりも
藤沢駅鎌倉駅へ向かうルートの方が概して空いているらしい。
もちろんどちらも午後ともなるとものすごい混みようなのだが、
少なくとも紅葉真っ盛り十一月下旬の土日、午前十一時頃藤沢発の電車にはスムーズに乗ることができた。
 
江ノ島へ向かう通りを吹き渡る潮風を浴びた瞬間、言いようのない幸福感が体の中に沸き上がる。
海、海、海!!!
私は泳ぐこともできないし、海沿いに暮らした経験もないのだけれど、
海の近くに行くと心がすっと解き放たれて、帰ってきた、というように感じる。
 
秋の日はつるべ落としとも言うので、この日は少しでも時間を節約するために昼はコンビニおにぎりで済ませる気でいたのだが、心地よい潮風を浴びて、江ノ島まで続く道のあちらこちらに掲げられた「生しらす」の看板を見ていたら、無性に海の幸が食べたくなった。
 
【食事】きむら ★★★★★ 絶品の生しらす丼とはまぐり焼き@江ノ島
 
さっそく近辺の海鮮食堂を探し、江ノ島「きむら」さんにお邪魔することにする。

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 通常11:50開店、この日は12時スタートとのことで、11:50到着時に名前を書いてそのまま待機。
ちなみにこのお店、目抜き通りからは少し離れているのだが、そこに至る街並みが海沿いの裏通りという趣でとても風情がある。
 

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 ひとりだったのでカウンターに案内され、生しらす丼と、焼きハマグリを一個注文。
生しらす丼は土佐酢をかけていただくのだが、新鮮でとても美味しく、またハマグリも他で食べたことのないような甘さがあって、しみじみと幸せな気持ちになれるお昼ご飯だった。
なお、空腹のあまり料理が運ばれてすぐに食してしまったので、写真はありません。
百聞は一見に、百見は一食に如かず。是非食べに行ってみてください。
 
腹拵えの後は、鎌倉方面へとひたすら歩く。
青空が実に気持ちいい。

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途中、海沿いの小動神社という社を通り過ぎる。こゆるぎ、と読むらしい。

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海を望む小さな神社で、自分が訪れた時には誰もいなかった。
ほっかむりをした狛犬が愛らしく、海神を祀った社があるのもよい……さらに神社の境内から青い海を望める、なんて素敵。
物語、始まっちゃうよ……。
 
さらに歩いて鎌倉高校前駅へ。
スラムダンクの聖地でもある踏切は国内外から多くの観光客が訪れて一大フォトスポットになっていた。
ここから丘に登り、住宅街の中を散策してから七里ヶ浜駅より再び江ノ電に乗る。
当初の予定では鎌倉駅まで歩くつもりだったのだが、
今回行く予定だったお寺の一つが三時には一般公開を終えてしまうので、時間節約のためにフリーパスを活用することにしたのだ。
 
【穴場】紅葉の時期、大混雑の鎌倉を静かに楽しめる「長寿寺」「海蔵寺
 
今回鎌倉では紅葉目当てに二つお寺に立ち寄った。
 
・長寿寺
 
混雑を避けるために、どちらも穴場と呼ばれている場所を選んだ。
実際、鎌倉駅から鶴岡八幡宮へと続く小町通りはものすごい人、人、人。
人混みが苦手な方は線路沿いを迂回して行くといいかもしれない。
私はそもそも鶴岡八幡宮にも行かなかったけれど……。

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長寿寺

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海蔵寺

長寿寺は拝観料300円、海蔵寺は無料(ただし十六の井と呼ばれている鎌倉時代の遺跡を見るのは100円。)

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十六の井

岩壁を掘った洞窟内に位置する、今も水が湧き出る十六の穴。弘法大使が掘ったものだとの伝説もある一方、納骨跡との説もあり、穴が彫られた目的や使用用途は解明されていないらしい。

どちらのお寺も紅葉の色づきは時期が早すぎたのかイマイチだったけれど、人も多くなく静かで落ち着いた雰囲気に浸ることができた。
 
ここから本当は徒歩で極楽寺駅へ向かうつもりだったのだが、日の入り時刻が近づいてきていたので、またも江ノ電に頼ることに。

鎌倉駅はホームに入りきれないほどの人混み。朝の通勤ラッシュでもこれほどの混雑に出くわしたことはない。
そんな車体になんとか体をねじ込んで極楽寺駅へ。
 
海街diary」を観て以来ずっと訪れたかった極楽寺駅
 

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駅を降りて一言。
「私、ここに住みたい」
 

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駅近くの赤い橋。それから昔の佇まいを残す雑貨屋さん。
何十年も前に失われてしまったような生活が、ここにはある気がする。

【絶景】鎌倉で夕陽・江ノ島・富士山を一望できる稲村ヶ崎
 
周辺をしばらく歩き回ってから、稲村ヶ崎方面へ歩き出す。
海岸へ出ると、今まさに夕日が海に沈もうとしていたところ。
ベストタイミングの空を目に焼き付けることができた。

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稲村ヶ崎の広場には人が鈴なり状態で座っていて、ここが江ノ島と富士山を両方画角に収められる夕日の一大スポットだったことを知る。
富士山を綺麗に見たければこの広場まで来た方がいいし、
富士山は別にいいから夕陽をってことなら、途中の海岸から見た方が人は少ない。
 

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夕焼けを堪能した後は、稲村ヶ崎広場のすぐ隣、海を見晴らす稲村ヶ崎温泉へ。
 
【温泉】稲村ヶ崎温泉 ★★★★☆ 漆黒の半露天風呂で夕日の沈む海を一望
鎌倉エリアで珍しい日帰り温泉。モール泉という、植物由来(稲村ヶ崎温泉の場合は古代の松)の成分が溶け込んだ、茶褐色の湯。
1,530円という入浴料には驚いたが、温泉好きの自分はこれを無視しては帰れない!
 

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太陽が水平線に沈んだ直後に行ったところ、十人ほどが湯船に浸かっていて、ギリギリ許容範囲。あまり大きなお風呂ではないので、これ以上だと他人と肌が触れてしまい落ち着くことができなさそう。

内湯の格子窓の一部を開放することで外の風を取り込む、半露天形式。
大通りの真横というロケーションだから致し方ないとはいえ、目隠しの囲いが邪魔で、それ越しに外を見ていると、なにやら囚人風呂のような気持ちもしてしまう点は少し残念。
しかしこれも慣れると、外からの冷たい風が白い湯気を浮かび上がらせ、海沿いの温泉ならではの雰囲気を楽しめる。
お湯は熱すぎず、時折半身浴もまじえながらずっと浸かっていられる適温。
真っ赤に燃える残照を見つめながら、長々と浸かってしまった。

海沿いのロケーションは最高だし、この辺りで唯一楽しめる温泉なので評価は高いが、
一方値段の高さ(お盆時期はさらに高くなるらしい)や、牛乳などまで券売機で購入したり、ロッカーも指定された番号のものしか使えなかったりという部分に商業的な匂いを感じてしまい、その点は☆マイナス1。
 
温泉から上がるとすでに日は暮れて海と空の境界も分からなくなっていた。
稲村ガ崎駅へ行くと、先ほどのラッシュは既におさまり、江ノ電にも余裕を持って乗ることができた。
江ノ島・鎌倉からの帰りは、夕焼けを楽しんだあと温泉に浸かり、それから江ノ電に乗ると人にもみくちゃにされずに済むのでおすすめ。
また、稲村ガ崎の駅近くには何軒かおしゃれなレストランやカフェもあるので、どうせなら夜ご飯もここで済ませてしまうのも良いかもしれない。
 
旅の好き嫌いも生き方も人それぞれだから、
自分が楽しかったからと言って人に無理強いすることができるものでもないけれど、
毎日疲れたような顔をしている人にオススメしたい。
 
週に一回、週末、たとえ朝起きるのが辛くとも、どこかへふらりと旅に出る。
海を見る、山を見る。風を感じる。温泉に浸かる。
それだけで、一週間生き抜くだけの力が身体中にみなぎってくる。
その足がかりとして、都心からも近い鎌倉、とてもオススメです。